2022年度 国家総合職 試験専門委員分析&出題予想

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2月1日付の官報にて本年度の国家公務員総合職試験の試験専門委員(専門試験の問題作成者)が発表されました。試験委員は専門試験問題作成(多肢選択・専門記述)に関わります。試験問題は問題作成者の研究内容や専門性に影響を受ける可能性が考えられるため、どんな人が問題を作っているのかを把握することは非常に重要です。この記事では化学・生物・薬学(化生薬)区分の試験専門委員のそれぞれの研究内容、専門性を分析し、出題可能性の高い分野をまとめました。ぜひ有効活用して下さい。

化生薬区分の専門試験では、大卒・院卒試験ともに同一の問題が出題されます。採点後、大卒試験は大卒試験受験者内で順位付けされ、院卒試験は院卒試験受験者内で順位付けされます。

今年の試験専門委員の一覧(化生薬)

官報より(2022年2月1日)

国家公務員試験の専門試験では、試験区分ごとの専門家である大学教授や、現役官僚、各研究機関の研究者などが試験問題の作成者として選ばれます。試験問題には問題作成者の専門や、研究内容に関連するものが出題されることが多々あるため、試験専門委員の分析は効果的な試験対策になります。

以下で化生薬区分の出題分野を「化学」、「生物・薬学」、「その他(食品学・土壌肥料農薬)」に分けて試験専門委員をまとめました。ただし、分類などは個人の見解であり、だれがどの科目を担当するかは公表されません。自分が選択する予定の科目のを担当しそうな試験専門委員については一度自分でも調べておくとよいでしょう。科研Resarchmap、各大学の研究室のHPなどで、専門性や最近の研究内容が調べられます。

化学

白背景は昨年同様のメンバー、緑背景は新規加入のメンバー

昨年とほほ変わらない顔ぶれですね。私は生物が専門であり化学には疎いので詳しい分析はできませんが、試験で化学系の科目を選択する予定の方は一度調べておくとよいでしょう。

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生物・薬学

白背景は昨年同様のメンバー、緑背景は新規加入のメンバー

こちらは化学とは違い新たに5人加わっています。新しく加わった以上何かしら関連分野が出題されることが予想されます。農研機構の岩浦研究員は核酸の物理化学などの分野で実績があります。そのため生化学などでDNAの構造(A型、B型、Z型)、核酸の安定性など核酸の性質について問う出題が予想されます。医療創生大学の斉藤准教授からは生理学や細胞生物学などの科目で心臓・血管の生理の出題、薬理学などで高血圧関連の出題が考えられます。明治大学の竹中麻子教授はビタミン(特にビタミンE)や食餌タンパク質を専門に研究しています。そのため、食品学や生化学などでビタミンを始め各栄養素の知識が問われる場面があることが考えられます。

量子科学技術研究開発機構の平山研究員は主に放射線生物学の専門と思われます。専門択一の「細胞生物学・放射線生物学」の放射線生物学の問題作成を担当していると想像でき、個人的に一番期待値の高い対策ができると思い注目しています。平山研究員の経歴を見るに放射線の細胞レベルでの影響について高い確率で出題が予想されます。放射線被曝によるラジカル発生、DSB発生、DNA修復機構、細胞レベルでのダメージ、および粒子線を利用した腫瘍治療などが考えられます。農研機構の松原研究員は「遺伝学」の科目を担当すると思われます。私は遺伝学についてはあまり詳しくはないですが、遺伝学を選択する予定の人は上記票のQTLマッピングなどのキーワードの内容の確認、松原研究員の過去の研究内容の確認などを行っておくとよいでしょう。

また全体を通してみても今年も神経科学やエピジェネティクスがキーワードになる試験専門委員が多いように思えます。生物系、薬理系ともに神経の生理学、代表的な神経変性疾患のメカニズム及び治療薬の内容を確認しておくことをお勧めします。

さらに今年は「酸化ストレス」について複数の試験専門委員でキーワードが重なっています。そのため、生体内でのROSの発生と除去、ビタミンをはじめとした抗酸化物質、DNA損傷修復などを重点的に確認しておきましょう。

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その他(食品学、土壌肥料学・農薬)

白背景は昨年同様のメンバー、緑背景は新規加入のメンバー

最後に「食品学」及び「土壌肥料・農薬」の科目についてですが、大きくメンバーが入れ替わっています。食品学ではビタミンをはじめとした各栄養素の性質、食品の機能性成分などオーソドックスな対策が効果的と思います。とくに東京農大の大石教授は10年以上国総の試験専門委員を連続で担当しています。ここまでくると過去問の焼き直しが出てくる可能性は十分あるので過去問を取り寄せて対策するのも非常に効果的だと思います。

土壌系は詳しくないので詳しくないので踏み込めませんが、土壌環境汚染や汚染の分析、農薬などを重点的に学習するとよいかと思います。選択予定の人は各試験専門委員の研究内容について確認しておきましょう。

まとめ

個人的に出題可能性が高いと思う分野は以下の通りです。以下の内容を確認するとともに、自分でも試験専門委員の専門についてしらべ出題を予想してみましょう。問題作成者の立場に立って考えてみることも効果的な学習につながります。また、出題予想はあくまで直前期の補助的なものであり、対策の基本は基礎的な内容を幅広く学ぶことです。各自でいろいろな情報、方法を取捨選択しながら対策を進めていきましょう。

・神経科学分野(神経の生理学、神経変性疾患)

・循環器分野(心臓血管の生理、高血圧など)

・エピジェネティクス分野(DNA修飾、ヒストン修飾、SNPなど)

・核酸の性質

・ビタミンなどの栄養素の性質とその効果

・細胞での酸化ダメージ(DNAダメージ、DNA損傷修復、放射線生物学関連も含む)

2022年度出題予想の振り返りの記事はこちら

 



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