2024年度国家総合職試験 試験専門委員分析&出題予想

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2月1日付の官報にて本年度の国家公務員総合職試験の試験専門委員(専門試験の問題作成者)が発表されました。試験委員は専門試験問題作成(多肢選択・専門記述)に関わります。試験問題は問題作成者の研究内容や専門性に影響を受ける可能性が考えられるため、どんな人が問題を作っているのかを把握することは非常に重要です。この記事では化学・生物・薬学(化生薬)区分の試験専門委員のそれぞれの研究内容、専門性を分析し、出題可能性の高い分野をまとめました。ぜひ有効活用して下さい。

2024年度の試験専門委員一覧(化学・生物・薬学区分)

官報より

国家公務員試験の専門試験では、試験区分ごとの専門家である大学教授や、現役官僚、各研究機関の研究者などが試験問題の作成者として選ばれます。試験問題には問題作成者の専門や、研究内容に関連するものが出題されることが多々あるため、試験専門委員の分析は効果的な試験対策になります。試験専門委員は毎年数人が入れ替わりますが、新しく加わった委員の専門分野は必ず確認しておきましょう。過去の傾向からしても新しく加わった以上何かしらの問題作成を主導する可能性は高いと考えられます。以下の表が今回新規で加わった試験専門委員の一覧です。

新規メンバー一覧

以下で化生薬区分の出題分野を「化学」、「生物・薬学」、「食品学・土壌肥料農薬」 に分けて試験専門委員をまとめました。緑背景が今年度新規で加わった試験専門委員を示しています。 ただし、分類などは個人の見解であり、だれがどの科目を担当するかは公表されません。 なお、現役省庁職員でデータのない場合は記載していません。自分が選択する予定の科目のを担当しそうな試験専門委員については一度自分でも調べておくとよいでしょう。科研Resarchmap、各大学の研究室のHPなどで、専門性や最近の研究内容が調べられます。

化学

化学系試験専門委員 白背景は昨年同様のメンバー、緑背景は新規加入のメンバー

化学系科目では東京農工大の桜井誠准教授が新規に加わっています(研究室HPはこちら)。化学分野に関しては専門外なので 詳しい分析はできませんが、試験で化学系の科目を選択する予定の方は一度調べておきましょう。

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生物・薬学

生物・薬学系試験専門委員 白背景は昨年同様のメンバー、緑背景は新規加入のメンバー

今年度の生物・薬学系では新たに4名の試験専門委員が加わっています。個人的には厚生労働省国立医薬品食品衛生研究所の柴田識人氏に注目しています。柴田氏は遺伝子工学、がん生物学、生物系薬学分野での研究実績があり、また現在では内閣府 遺伝子組換え食品等専門調査会 専門委員や厚生労働省 遺伝子組換え食品等調査会 委員などを兼任しています。これらの専門性を踏まえ、遺伝子組み換え食品CRISPR-Casシステムがんの細胞生物学(BCR-ABLタンパク質、乳癌に関連した研究実績あり)、薬学系科目でのタンパク質分解誘導剤などの出題が考えられます。

化学・生物・薬学区分の専門試験では細胞生物学分野の一部として放射線生物学に関する出題がありますが、今年度はその分野に関連して量子科学技術研究開発機構から下条雅文氏と舟山知夫氏が加わっています。それぞれの研究実績に共通するテーマとしてPETなどの放射線によるイメージング技術や診断・治療技術が挙げらるので、放射線の生体への影響などと合わせて重点的に対策しておくとよいでしょう。また下条雅文氏は神経科学の専門家でもあり、神経変性疾患などでの研究実績があります。細胞生物学分野での神経細胞に関する出題や、薬学分野で各種神経変性疾患の病態や治療法を問う出題が考えられますので対策しておきましょう。

農業・食品産業技術総合研究機構の内藤健氏はアズキの環境適応に関わる遺伝子の同定を研究テーマとしています。ゲノム解読技術や遺伝子発現解析などの解析技術に関する出題が考えられます。

食品額、土壌肥料額・農薬

食品学、土壌肥料学・農薬系試験専門委員 白背景は昨年同様のメンバー、緑背景は新規加入のメンバー

食品学、土壌肥料学・農薬系 では農業・食品産業技術総合研究機構から氏原ともみ氏、並木小百合氏、森伸介氏の3名が加わっています。

氏原ともみ氏は農産物・食品中の成分分子の化学的・物理的性質に関する研究が専門であり、呈味成分の有機化学的分析や茶の成分に関する論文が多く出されています。茶に関しては一次試験多肢選択の食品学で定期的に出題されている(H24年度(茶の分類)、H29年度(茶葉の機能成分)、H31年度(玉露の旨味成分)、2020年度(茶葉の加工)、2022年度(茶葉の加工と成分))ので要チェックです。また、近年の食品学では食品成分の構造式に関しての出題が多くみられるようになっているので主要な食品成分の大まかな構造は頭に入れておくとよいでしょう。

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並木小百合氏は「土壌中の農薬等有機化学物質の作物による吸収・移行性における作物間差や栽培環境条件が及ぼす影響について、これらの有機化学物質による作物汚染リスク予測・低減といった食の安全を守るための適正管理技術の開発に向けた研究」と紹介されています。近年では除草剤「クロピラリド」と植物生理に関した論文が多数出されており農薬とその植物への影響に関する出題が考えられます。

森伸介氏はカドミウム、ヒ素などの有毒元素の植物への吸収・蓄積、植物の病気に関しての研究実績が豊富であり、関連分野の対策をしておくとよいでしょう。

まとめ・出題予想

試験専門委員の専門分野を考慮すると以下のテーマに関連した出題の可能性が高いと思われます。

1. 【分子生物学】遺伝子組み換え、ゲノム編集技術

2. 【細胞生物学】がんの細胞生物学

3. 【細胞生物学、薬理学】神経の生理学、神経変性疾患の病態

4. 【放射線生物学】 PETをはじめとした放射線診断・放射線治療

5. 【食品学】呈味成分、茶の成分

6. 【 土壌肥料・農薬 】農薬や有毒成分の植物への影響

※なお本記事の内容はあくまで学習を効率的に進めるための補助であり、まずはまんべんなく基礎知識をつける学習を心掛けてください。

 



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