国家公務員総合職試験には大卒程度試験と院卒者試験があります。この記事では試験面での違いについて解説していきます。大卒試験と院卒者試験では試験内容に若干の違いがありますので、特に院卒者試験を受験予定の方は要チェックです。違いを把握し試験対策に活かしていきましょう。
受験資格
まずは受験資格の違いです。2022年度試験場合、官報には次のように記載されています。
大卒程度試験
1)1992年4月2日以降から2001年4月1日までに生まれた者
2)大学を卒業した者及び2023年3月までに大学を卒業見込みの者
院卒者試験
1)1992年4月2日以降に生まれた者で次に掲げる者
2)大学院の修士課程又は専門職大学院の課程を修了した者及び2023年3月までに大学院の修士課程または専門職大学院の課程を修了する見込みの者
要するに入庁時に30歳以内でかつそれぞれの学位を持っていることが条件になっています。
試験内容
試験内容での違いは一次試験の基礎能力試験(いわゆる教養試験)と二次試験に現れます。教養試験では大卒と院卒者試験で出題構成に違いがあり、二次試験は大卒試験では政策論文が課されるのに対し、院卒者試験では政策課題討議が課されます。それぞれについて以下で解説していきます。
基礎能力試験
そもそも大卒程度試験と院卒者試験では問題数が異なり、大卒程度は40問、院卒者は30問となっています。下の図は2022年度試験のそれぞれの試験での出題構成をまとめた図になります。
知識系問題と対比して、文章理解、数的処理、試料解釈をまとめて能力系問題と呼ばれますが、院卒者試験において能力系問題の比率が高いのが一目でわかると思います。大卒試験の能力系が全体の約7割であるのに対し、院卒者試験においては8割に上り能力系が重視されていることが推測されます。
そして知識系では大卒試験では自然科学、人文科学、社会科学でそれぞれ3問、4問、3問と出題されているところが院卒者試験ではそれぞれ1問ずつとなっています。
この構成は基本的に毎年変わらないのでそれを踏まえた対策が必要になります。
また、私の手元にある2019年度から2022年度の過去問を見ると、院卒者試験の人文科学では4年連続で日本史の問題が出題されています。普通、公務員試験でこれほどの偏りが生じるのは考えにくく、院卒者試験の人文科学では意図して日本史の問題が出題されている可能性が示唆されます。
なお、院卒者試験において自然科学と社会科学ではどの科目が出題されるかはランダムと思われます。
大卒程度試験と院卒者試験で出題されている問題自体は同じです。院卒者試験の問題は大卒程度の問題から30問に削られて少なくなったバージョンというわけです。
二次試験
大卒程度試験では政策論文、院卒者試験では政策課題討議が行われるという違いがあります。
政策論文ではあるテーマに関して用意された複数の資料を用いながら論文形式で解答します。
政策課題討議ではあるテーマに関して用意された複数の資料を用い、個人で簡単なレジュメを作成し発表し受験者間で討議した後、さらに個人の考えをまとめ発表するという流れになっています。いわゆるグループディスカッションです。
違いを踏まえた試験対策
特に院卒者試験では能力系問題の比重が高いことを念頭に置いた対策が求められます。各自得意不得意はあると思いますが、文章理解と数的処理の少なくともどちらかは得点源にしたいです。さらに国家総合職では最も容易な問題であるであろう試料解釈は確実に2問正解したいところです。
これらは国家総合職の過去問で演習を重ねていくのが一番いいと思われます。まずは問題を解く力をしっかりとつけ、学習していく中で試験の戦略を考えていきましょう。
時事問題は大卒程度試験と同じ3問出題されます。これは「速攻の時事」を使用して学習を進めると良いです。毎年2月初旬に最新版が出版されるので要チェックです。直近1~3年に起きた話題について問われるので、過去問を利用しどのような話題がどのような問われ方をするのか確認しておきましょう。
そのほかの知識系問題はコスパを考えると、必要に応じて適宜抑える程度で良いと思われます。
理系の受験者であれば自然科学は問題なく正解できる確率は高いです。社会科学は時事を学ぶ際の基礎知識として、基本的な日本の法律、政治の仕組みなどを押さえればよいと思います。
人文科学では日本史、とくに頻出である近現代の歴史について軽く学習しておくとよいです。
院卒者試験では教養試験で30問中15問前後の正答を目指してください。5割の正答率なら十分合格が見込めます。なお3割未満、つまり9問以上正答しないとその時点で足切り不合格となるのでご注意ください。
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