重要判例-尊属殺重罰規定

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この記事では、平等権に関する重要判例である「尊属殺重罰規定」について解説します。公務員試験では最重要の範囲ですので、受験する方はしっかりと内容を押さえておきましょう。

日本国憲法では基本的人権の尊重が担保され、その中に「平等権」という概念があります。日本国憲法には、「法の下の平等(14条)」や、「両性の本質的平等(24条)」、「参政権の平等(44条)」が明記されています。

今回紹介する「尊属殺重罰規定」は、法の下の平等(14条)に違反すると判決が出されたものです。以下で内容を確認していきましょう。

背景

被告人の女性は、実の父親から継続的な性的虐待を受けておりその結果子供を出産し、夫婦同然の生活を強いられてきていた。そのような中でもその女性は職場で相思相愛の相手を見つけ、正常な結婚をする機会が巡ってきた。しかし結婚したい旨を父親に告げたところ、父親はその女性を監禁し、暴行を加えた。そのためその女性は父親を殺害し自首した。

 



判決

それまで刑法200条では、尊属(実の父母や祖父・祖母など)を殺害した場合は通常の殺人罪よりも重い刑が科されることが規定されていた(尊属殺重罰規定)。弁護人は、この刑法200条は被害者が尊属であることを理由とする不合理な差別であり、憲法14条 法の下の平等に違反すると主張した。その結果、最高裁判所大法廷は刑法200条を違憲とした判決を下した。

法の下の平等 – 法の適用とその内容が平等であること

刑法200条はその後適用されることはなく、平成7年の刑法改正の際に削除された。

まとめ

・「法の下の平等(憲法14条1項)」では、法の適用とその内容が平等であることが要請される。

・旧刑法200条の尊属殺重罰規定は憲法14条1項に違反する。(最大判昭 48.4.4)

最高裁判所大法廷判決はよく「最大判」と略される。

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