H27 国家総合職 二次試験・遺伝学 ☆解説☆

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問題

H27年度 国家総合職 化学・生物・薬学区分 遺伝学 に実際に出題された問題です。

解説

(1) ア. 要求性株 イ. 非要求性株 ウ. 誘発頻度 エ. フレームシフト オ. 点(点突然)

(2) ヌクレオチド除去修復(NER)は紫外線で生じたピリミジン二量体などの大きなDNA損傷を対象とした修復機構である。まずピリミジン二量体などが生じることでできたDNAの歪みをUvrAが認識し、UvrCエンドヌクレアーゼが損傷側のDNA鎖を損傷部を含んで数十塩基の距離で二か所にニックを入れる。その後UvrD(DNAヘリカーゼ)が損傷鎖を取り除き、DNAポリメラーゼIによる複製が行われDNAリガーゼによギャップ部分がつながれ、修復が完了する。1)

(3) 色素性乾皮症

紫外線に対する皮膚の過敏症と皮膚がんの高発を特徴とする常染色体劣性遺伝病である。2)日光照射に対して紅斑や水疱などの過敏反応を示し、皮膚乾燥、角化、色素沈着を伴い基底細胞癌、扁平上皮癌、悪性黒色腫などの皮膚がんを頻発する。3)

(4) 細胞壁の構造が変化し、透過性が亢進することによって変異原物質に対する感受性が増すため。

(5) 被験化学物質の代謝産物の変異原性をテストするため。

(6) コロニーをつくらない程度の量のHisを添加し、菌を生存させるため。

(7) 被験化学物質が存在しないプレートをコントロールとして用意する。変異原物質がなくとも、ある一定程度は変異し、コロニーを形成するのでそれを差し引いて変異原性の有無を判断しなければならない。4)

(8) 変異原物質はDNAに作用し、その影響が甚大であれば異常な細胞増殖が生じ場合によってはがん化する場合がある。つまり、変異原物質は発がん性物質としての可能性を秘めているため、スクリーニングに用いられる。Ames試験は簡便で迅速であり、低コストで感度も高いという利点がある。

Ames試験についてはこちらから

参考文献

1) 田村隆明,村松正實,「基礎分子生物学」,p82~101,東京化学同人,(2016)

2) 渋谷正史,湯浅保仁,「がん生物学 イラストレイテッド 第2版」,p167,羊土社,(2019)

3) 北川昌伸,仁木利郎,「標準病理学 第5版」,p244,医学書院,(2015)

4) 中村千春,「基礎生物学テキストシリーズ1 遺伝学」,p99-100,化学同人,(2013)

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