国家総合職試験 新型コロナ関連の出題まとめ

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2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大以降、国家総合職試験(化学・生物・薬学)の専門試験では明らかにそれを意識した出題が増えています。そこでこの記事では、新型コロナウイルスの影響が反映された2021年度と2022年度試験の出題をまとめましたので、今後の試験対策に活かしていただければ幸いです。

新型コロナウイルス関連問題の出題

新型コロナウイルスに関連した出題

直近2回の新型コロナウイルス感染症を意識したと思われる出題は上記表のようになっています。以下でその内容を詳しく解説していきます。

2021年度試験の出題内容

〇一次試験 多肢選択

薬剤学・衛生化学では予防接種に用いられるワクチンに関しての出題がありました。ここでは不活化ワクチンや弱毒化生ワクチンの特性や接種対象者に関しての知識が問われました。

生化学・分子生物学ではウイルスやバクテリオファージに関する出題がありました。ここではウイルスの一般的な特性としての感染方法や増殖、遺伝的特性などの知識が問われました。

遺伝学・進化学ではインフルエンザウイルスのゲノム進化に関する出題がありました。ここではインフルエンザウイルスのヘマグルチニン遺伝子を例に挙げ、突然変異によるゲノム進化について問われました。

〇二次試験 専門記述

分子生物学・遺伝子工学では新型コロナウイルス感染の検査にも使われるPCR法に関しての出題がありました。ここでは遺伝子発現解析を例に挙げその際に用いられるRT-PCRの原理を説明させる問題がありました。また、一般的なPCR法の知識を問われ、ウイルス検査におけるPCR法の利点を説明させる問題もありました。

遺伝学では新興ウイルスの進化や、ワクチンに関する出題がありました。ここではA型インフルエンザを例に挙げ、その特徴や過去に起こった新型インフルエンザウイルスパンデミックの際の遺伝的特徴を説明させる問題がありました。ワクチンに関する出題では、「天然痘を例に挙げ撲滅に至る場合とそうでない場合の違いの説明」、「今後流行するウイルスの系統を予測するための、分子進化に基づく手法及び生化学的手法の説明」、「2009年の新型インフルエンザへの対応を例に挙げてワクチンの優先接種者を提案させる問題」などの踏み込んだ出題がありました。

2022年度試験の出題内容

〇一次試験 多肢選択

出題はありませんでした。

〇二次試験 専門記述

分析化学ではイムノクロマト法に関する問題としてインフルエンザウイルスの検査法について問われました。ここではイムノクロマト法によるインフルエンザの感染の有無を検査する場合の測定原理を説明させる問題が出題されました。

薬剤学では新型コロナウイルス感染症に対するmRNAワクチンのDDS(Drug Delivery System)である脂質ナノ粒子に関する出題がありました。ここではmRNAの送達すべき部位や、送達メカニズムなどが問われました。

まとめと今後の対策

新型コロナウイルスに関連した出題

これまでの過去問を分析すると問題の種類はおおむね次の3つに分類できると思います。ウイルスの性質検査手法ワクチン(治療薬も含む)。これらを踏まえ各自で内容の要点を押さえておきましょう。

さらに一般論だけでなく、2021年度の遺伝学の出題にあったように「2009年のインフルエンザウイルスパンデミックを例に挙げ記述させる問題」など具体的な事例についての知識が問われることもあります。過去には平成23年度試験の生化学で「HIVの感染機構と治療薬」、平成25年度試験の分子生物学・生物工学で「インフルエンザウイルスの感染経路、感染機構、治療薬(タミフル)の作用機序」を説明させる出題の例があります。したがって今後も類似の出題があることは十分に考えられるので、これらに関する詳細な分子機構なども含めて対策しておく必要があります。

 



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